Think Like Talking.

変わりゆく変わらないもの

決められたリズム

 だんだん10日に一回くらいのペースで更新しつつある「明るい抑うつ闘病記」。前回は出向先の職場からの撤収、大人の夏休みで少しずつ意欲が戻ってきた話まで。

 そして今回は、再始動の序曲と銘打ちお伝えしようかと。

 

・再始動の序曲

 

 2011年8月中旬。前回日記の出向先職場からの撤収と同じ頃、今後の治療方針・治療方法についての検討が始まっていた。

 

 震え・不眠といった抑うつ症状に対して、投薬による治療は今後も継続という。問題はその先、復職を視野に入れた場合の「再発を予防するための治療」。

 投薬による症状の緩和と、それによる一定の体力回復により、通常であれば復帰に向けてのゴーサインが出る。ただしその場合、原因になった事象の特定や、同様のシチュエーションに置かれた場合の対処ができず、更に状況が進行した場合には同じように再発したり、場合によっては一度(もしくは数度)休職しているという負い目から更に悪化した状態で再発ということになりかねない。実際に、投薬治療のみで症状を抑えた場合、1年再発率は非常に高い(確か7割を超えていたはず)というデータが有るそう。それを超えたとしても、ほぼ3年以内に再発・休職という事態が待ち構えている。

 

 それを回避するための一つの試みとして、「認知行動療法」というのが最近注目されている様子。

 事象に対する自分の捉え方(=認知)、それを受けてどのように反応・行動するか(=行動)を分析し、対応策を自分で気づくというのが簡単な説明でいいかな?

 

 人間が集団の中に入った場合、それがどのような集団でもその人間が取る行動というのはある程度パターン化される傾向があるそうで、それが繰り返されるために同じパターンの失敗やトラブルが発生するという。引っ込み思案であったり過度に威圧的であったり人それぞれではあるが、人との関わり合い方や反応・行動(選択と言っていい)は概ね似た方向になるというものだ。

 抑うつうつ病になる人の大多数は真面目な人というが、そうした人の場合非常に神経質であったり責任感があったりで、例えば仕事を断れない、妥協できないというパターンで自分を追い詰めていく傾向があるそう。若いうちは体力でそれを克服できるが、30代を超えたりよしんば20代でも精神力が枯渇すれば当然発症する。

 

 自分の通っていたクリニックでは、デイケアと呼ばれる形態で集団を形成し、擬似的な課題を与えて復職・復帰した後の生活をシミュレートしながら、自分の問題点や発症原因を分析、当然先のような「集団の中での自分の振る舞い傾向」を自覚させて別の行動選択肢を発想できるようにする、というのが目的で。

 

 実際にデイケアに参加するためには、デイケア参加の適否を主治医が判断し、オリエンテーションを経て参加許可を受けるというプロセスが必要。デイケア自体が社会復帰時に想定しうる負荷を再現したり自分のトラウマに向き合うプログラムがあったりと、精神疾患の状態によってはダメージが大きい場合があるため、それにある程度耐えられる状態でないとキツイ、というのが恐らく理由だろう。

 自分の場合は8月中旬にオリエンテーション、即日参加許可を受けて8月下旬からデイケアスタートという運びになった。休職からは概ね一月半、リフレッシュと復帰訓練としては間が開きすぎず良かったのかもしれない。

 

 デイケアの内容については詳細は書かない。というのも、外部へのネタバレ禁止というのが鉄則であり、場合によっては治療効果が激減してしまうため。万一このブログを見てデイケアに参加するという方がいた場合の事も考えなければならんしね。

 とは言え、ざっくり説明すると平日のコアタイム(朝9時から17時まで)を拘束時間として、年代も出自も様々な人達が集まり共同で様々な課題に取り組むというもの。課題には正解がなく、自分の思考傾向や他者の主張についてどう折り合いをつけるかとか、そうした中で発症に至った要因を自分で気付き対処方法に持っていくというのが流れ。最終的にはある程度のストレス環境でも受け流せるのが理想だが、それぞれの事情で終了目標はそれぞれだったりする。これだけ読むとよくわからんな(笑)。

 

 ともあれ、投薬による眠気や慣れない課題等で集中力を維持するのは意外と大変。人によっては数年単位で通うこともあるという。さて、鬼が出るか蛇が出るか。

 

 ただし、先に書いておくとこの経験は自分にとって、30代中盤のいい大人として得難い時間であったことは間違いない。病気自体はそりゃあならないに越したことは無いんだけど、ここで出会った人たちはそれぞれに事情があるものの、基本的には抑うつうつ病になるだけあって真面目。そして調子が戻ってくると頭の回転が早かったり、とても教養があったりする。普通に生きていたらなかなか交わることのない人たちと出会えた、ある意味「大人の学校」という時間だった。

 そう捉えられるか、苦しみだけに囚われるか、それによって大きく意味合いが変わってくるかもしれない。

 

 捉え方ということでもう一つ、抑うつうつ病かもしれないと思いつつ、自分はそんなことは無いと頑なに病気を否定している方がいたらの話。

 こと精神疾患については余りに漠然とした恐怖がつきまとうため、自分が病気であると認めたくないのは自然な感情ではあるんだけど、どんな病気でもそうであるように病名をクリアにして対処を適切に行うべきであり、そのためにも早めに受診して認めてしまった方がはるかに治りが早い、と思う。実際に自分は自分がそうした病気であるかもしれないとかなり早期に分析して、それを受け入れたために復帰まで半年前後で済んだ(投薬治療はしばらくかかったが)。精神という部分ではあるものの、脳内物質の分泌という意味で立派な脳の内科的疾患とも捉えられる。

 だから、もし自分がそうかもしれない、と疑いがある人がここを読んでいたら、迷わず恐れず門を叩いてみるのをお勧めする(ただ、初手から強力な薬を大量に処方、というのは気をつけたほうがいいらしい)。

 

 というわけで、2011年8月下旬より、職場復帰への本格治療開始。次回はそこからのお話ってことで。