Think Like Talking.

趣味や子育て、ゆるい生活をつづる備忘録

Walk This Way

 なかなか抑うつに対しての風当たりは強いよね、というお話。

・Walk This Way

 今年度も残すところ後10日を切り。今日も早番だったのだけど、日曜ということでほとんど仕事も落ち着いており非常にまったりした仕事。

 昼も過ぎ、シフトも残り2時間を切った辺り。上長から呼び出され、年度末の面談。

 

 ぶっちゃけていうと、現場から間接に異動させたかったけど、反対に遭って頓挫したと。

 

 で、その原因というのが、俺の病状の説明が大きいらしい、と。

 

 なんですと? と思ったがどうもこういうことらしい。

・上長との面談や日常の勤務状態では、ほぼ完治して異動しても新しい仕事を任せても問題無いと判断した。

・しかし、実際俺が病状の説明をするのを聞くと、「再発の恐れがある」と印象を抱かせるので反対される。

・俺(上長)の見立ては間違っているのか?

 と。

 俺の説明は、「投薬治療もカウンセリングも完了し、既に通院は終了したので医学的には『寛解』の状態にある。しかし、再発率の高い病気であることから、『完治』という表現は使えない」というもの。うん、字面にすると確かに誤解を招くわな。

 

 実際にはラインのシフトに入って約1年、勘は大分取り戻し、ほぼ通常通りの仕事をこなしている。元々面倒な仕事も引き受けてキャパ以上に膨らむ傾向があった(それでも現場仕事レベルだったら大抵こなしていた)のだが、復帰してからは自分の生活が第一とばかりに、他の人で出来るのなら俺が手を出すこともあるまいと仕事を振る「練習」に専念していた。それでも上長曰く「流して仕事しても他の人の全力レベル」らしいので、それなら歩調を合わせるか、となるわけで。

 

 難しいよねえ。全力たたっこめばできるけど、多分消耗が激しいしそこまでの仕事ではない。その日一日で完結するルーチンワークでそこまで孤高の存在になろうとは思わない。なので一定レベルをキープしながら、意識範囲を拡大して手薄な人の作業をサポートしたりで自分に付加価値を付けざるを得ない。

 

 でもそこで一つ指摘されたのが、「君の仕事自体が他の人にとっての危機要因になりかねない」だそうで。なんでも、場を和ますためにあえてムードメイクのように軽口を叩いたりしながら仕事をこなしているのだが、それが外部から見て「大した仕事じゃないんじゃないか」と思われかねない、と。そんなわけねーじゃん。

 

 俺が復帰した去年の4月、以前居た頃とは天地の差がある程雰囲気が悪かった。各チームのチーフ間はギスギスし、管理職とは一触即発、所属員は上司の顔色と機嫌に神経を張り巡らせ、人員削減で既にバックアップが取れないシフトで疲弊しきっていた。そんな中で抑うつ上がりの俺ができることといえば、以前と変わらない明るさで復活をアピールしつつ、暗い顔をした若手を励ますくらいしか出来ない。ミスを許容できない雰囲気の中絶望的な顔をする若手、鎧袖一触とばかりにトラブル対応に右往左往する管理職に解決策を提示したりと、できることをやるしか無い。

 

 やらんで済むなら、俺だって道化を演じるのは疲れるのだよ。

 

 とりあえず、その辺りのやり取りで色々張り詰めていた物が「ブツン」と切れた。「プツン」じゃねえ。

 こちとらもなるべくアイドリング時間を減らして他の人が届かない部分の仕事をこまめにやるようにしてきたが。

 

 誰が見ても分かる適性・力量を個人の好みと厄介払いで除外するというのなら、そんな組織に義理立てする必要もない。淡々と自分の仕事をさせていただきましょう。見る側が盆暗じゃ、俺の力は使えんよ。

 

 というここでも道化を演じて見るんだけど、内心はやはり再発の兆候か? と思ったり当時の症状に似た状態を感知するとセンシティブにならざるを得ない。身体的な兆候が出る段階では、そこそこの危険信号だからだ。大抵は疲れだったり睡眠不足から来るものなんだけど、それを回復する時間を取らないとやはり状態を戻すのに時間がかかってしまう。こういう恐怖というか自分の心との付き合い方は、やっぱりなった人にしかわからない。これが一生続くのだから、リミッターを常に意識して生きる必要が出てくる。その制御がうまくいかないと再発ってわけだ。

 会社というのは多分、「鬱になった社員への対応」という名目でそうしたセミナーに管理職を派遣したりしているけど、どういう病気かという根本的な理解ができてないから単純に「再発させないために軽作業・単純作業・慣れたところから動かさない」という腫れ物扱いしか出来ない。どういう状態でどういう症状が出る、そうした時の対処法を間違えなければ、悪化を食い止めることができるというのをわかっていないのだ。逆に言えば、そうしたサポートを出来る会社なら、復職した人を通常の人と同じように(それ以上に)活躍させることだって出来る。むしろ、そうした抑うつになるくらいの人は真面目に仕事にも向き合うのだから。

 

 そうした偏見を取り除くのは難しいもんだな。しゃあねえ、このブログだって俺が職場復帰したのだって、少しでも「こういう症状があって、こうやって対処するのもあるんだよ」と伝えるためなんだから。

 

 千里の道も一歩からの悪巧み。俺の二つ名「悪党」、思い出してきたよ。

 肩の力を抜いて、飄々と。俺が道を歩いて行けば、なんだってそれなりにゃ上手く行くのさ。

 

 Walk This Way.