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変わりゆく変わらないもの

星空のディスタンス

 北海道の震災で今も大変な方々へ。一緒に頑張りましょう。

星空のディスタンス

 一緒に、というわけで自分も道民、今回の震度6エリアのとある場所に住んでいるわけで。今回の震災で「実際に自分がその場所にいたこと」という貴重な体験をした。自分のためにも、もしかしたらこれを読む誰かの心に少しでも残ってくれるためにも、記憶が薄れないうちに書き残す。

 

 9月6日、未明。

 唐突に揺れを感じる。今までも震度4程度は寝ている間に揺れたことがあるため瞬時に臨戦態勢。しかし今回はそこからいきなり横揺れが強くなる。隣で寝ていた嫁も「何?いやだ、いやだ!!! 何⁉」と若干パニックを起こしかけている。「大丈夫だ!!!」と落ち着かせ、間に寝ていた息子をかばうように体をかぶせた嫁の更に上に覆いかぶさる。

 30秒ほどだろうか、揺れが止まる。1階で寝ていた親が起きる。揺れの間、様々なものが落ちる音。インテリア好きな親が置いたガラス製の壷やグラスの一部が床で割れ、俺の飾っていたガンプラもかなりの数が床に落ちていた。

 時間は深夜3時を回ったところ。照明はまだつけられたので被害状況を見に1階へ。まずは誰もけがはない。仏壇が傾き、倒れる寸前で止まっていた。下手をしたら親父の頭の上に倒れていたかもしれずぞっとする。まずは細かなものは親に任せ、立て直すのに力が必要な仏壇を起こす。NHKのニュースで、速報で震度6クラスの地震だったことがわかる。安平で震度6強。ゾッとする。

 居間にみんなで集まり、ニュースを見ている間に突然電気がすべて消えた。携帯の画面で何とか明かりを取り、非常用に取っていたLEDランタンを持ち出し明かり代わりにする。単3乾電池で動くこと、LEDのため非常に明るく電池持ちもいい。カー用品店の特典プレゼントでもらったものだが、まさかこんなところで役に立つとは。

 

 夜が明けるまでまだ時間があるため、子供を落ち着かせ寝かしつける。おそらく数回余震はあったのだろうが、しょっぱなのでかいのを経験したため若干落ち着きを取り戻す。時間は4時を回っていた。まだ携帯はつながる。

 

 うとうとしながら、日の出の5時を回ったあたりで外から話し声。古い住宅街なので近所の人たちが起きて被害状況を見ているらしい。今日も仕事のためとりあえずもう一度目をつぶる。

 結局あまり寝た気がせずに6時を過ぎ、出撃準備。Xperiaワンセグ機能でニュースを見ながら、北海道全域がブラックアウトしていること、被害の概要が徐々にわかり始める。仕事が仕事だけに行っても特にできることはないだろうと思いつつ、JRも全域で止まっているため嫁も仕事は休み、停電の長期化や断水を警戒し風呂場に水を張るよう伝えて出社。

 

 何があるかわからず、最悪余震で被害が拡大することも考えいつものビジネスバッグではなくManhattan Portageバックパックに傘やティッシュペーパー、コンビニで買ってあったナッツ類、マルチツール、最低限の薬などを詰める。服装はいつものスーツと革靴は車に積んでおき、デニムに若干厚手の半そで・スニーカーのいでたち。

 

 途中の信号機はすべて消え、早朝のため車の通りは少ないものの慎重に職場に向かう。インフラ系の友人から安否確認と職場の状況質問電話を受けるが、向かっている旨を伝え急ぐ。やはり事務所も非常電源で何とか誘導灯はついているが、業務使用のシステムはネットワーク機器が使えず壊滅状態。昼前にさっきの友人が応急処置で非常電源で生きているコンセントからネットワーク機器へ電気を供給するラインを構築してもらい、かろうじて最低限の端末を稼働。メールで各所からの情報を仕入れ、無事であることを逆に発信する。

 

 自家発電の非常電源は燃料式のため、いつまで持つかわからない。ほかの社員は今後のことを考え携帯の充電アダプターを一斉につなげて充電し始めた。くそう、俺は持ってきてないぞ。6日昼の段階で残り70%。所々でワンセグで情報を入れる。

 

 結局業務にならないということで、事務所に最低限の人員を置き他は自宅待機ということで一度撤収。家に帰り、ニュースの状況を家族に伝えて、まずは備蓄の食糧がどれだけあるか、水道は何とかなりそうという話をしながら穏やかに過ごす。帰り道でガソリンスタンドの大行列やコンビニに殺到する人たちを見ながら、本当は自分もそこに並んで家族のために何かをすべきか、と思うもまずは現状を把握するためこらえる。

 

 実際、車のガソリンは残り3目盛り。N-ONEなら概ね100km以上は走れる計算。最悪携帯のバッテリーはこれでなんとかするとして、移動手段はbd-1もあるし何とかできる。

 問題は息子の食べ物だが、これはガスコンロと圧力鍋でお米を炊く方法を親が調べたため、白米のおにぎり好物の息子は何とかOK。都市ガスは問題ないが、それを制御するための電気がないと使えない。オール電化だったらもっとひどいのだろう。

 

 トイレは水が使えるため流せるだけラッキーだった。ただしこれも電源式のためどうするかと思っていたのだが、手動で流す方法を見つけてこれもクリア。風呂に張った水でトイレの水を満たすことで清潔は確保。

 

 9月の日の入りは18時頃。夕食は前日作っていたカレーをカセットコンロで温め、先ほどの圧力鍋で炊いたご飯で意外なほど豪華な食事。ただし食べて18時半、息子も普段と違う状況で疲れたのか19時には家族全員就寝。この間に、昨年機種変したためSIMを抜いていた前の携帯(Z4)を起動、ほぼ満充電で眠っていたため、ワンセグ専用として情報収集に使う。携帯ラジオがあればなおよかったのだが、どうも見つからない。

 

 俺も疲れていたのか、結局20時前には意識が飛ぶ。

 

 あってよかったもの。

・メイン携帯(ワンセグが見られるものは助かるわ)

・サブ携帯(古いものでも、満充電で電源を落としておけば結構残っているかも)

・ランタン(立派なものでなくてもLED・乾電池式ならお手軽。熱も発しないし)

・乾電池(トイザらスで子供用に単3乾電池をまとめ買いしててラッキー)

・カセットコンロ・カセットガス(IH使ってても残しておけ!!!)

・モバイルバッテリー(当然)

・水筒、ペットボトル(使いまわしは1回。それ以上は雑菌で死ぬ思いをする)

 

 持っておけばよかったもの。

・携帯ラジオ(どこ行ったんだろうなぁ...)

・非常用の固形食(カロリーメイトは必須かな。味の変化でナッツ類はいいね)

 

 眠る前、家の外の様子を見る。

 全域が、街灯まで含めてすべての電気が止まっているため本当に真っ暗。住宅街のため車の往来もなく、ヘッドライトの光すらない本当の暗闇。きれいな星空、とまではいかないまでも、自分の生まれ育った街で初めて見る夜空。そんな震災1日目。