Think Like Talking.

趣味や子育て、ゆるい生活をつづる備忘録

BE TOGETHER

 自転車の話が続いているので、もう一つ自転車の話。

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・BE TOGETHER

 「夫婦で自転車趣味」という諸兄も世の中にはたくさん存在する。うちの場合はというお話をしてみようかと。

  不定期で書いている「明るい抑うつ闘病記」でポツラポツラ話題にしていた自転車・サイクリング。自分が抑うつ治療期間の運動不足解消のために乗り始めたのが、気がついたらハマり性という別の病気を発揮してしまい(笑)、現在に至るまでその趣味が続いているという状態。

 自動車ほどカスタマイズにカネがかからず、運動不足の解消になり、日光の下に出ることでセロトニンが分泌され、更に膝が悪い自分にも負荷をかけないというグッドソリューション。当初は自分だけだったのだ、自転車趣味は。

 

 しかし、うちの場合はそこから思いがけない事態が発生する。

 自分が抑うつ症状をある程度克服し職場復帰を果たした頃、別の要因で嫁が同じく抑うつ症状を発症してしまう。

 詳細はいずれ書くかもしれないが、家の中で塞ぎこむ嫁。症状が落ち着き、本格的に治療に入った頃、気晴らしにと自分が最初に乗っていた折りたたみ自転車に乗せてみた。初めのうちは久々に乗る自転車の感覚に戸惑っていたが、気がついたら10キロ離れた映画館に一人で走って行ったり、30キロ程度のサイクリングを一人でこなしていたりした。

 

 あるとき、自分がベースにしている札幌北区太平のホワイトラインバイシクルさんに夫婦で行くことがあった。自分のbd-1のディレイラ調整で持ち込んだ時だが、嫁が珍しく「付いていく」と言い出したのだ。

 WLBさんは店長夫妻が共に店に立つスタイルで、自分が林店長の調整に立ち会っている間、後で嫁が店長の奥さんとなにやら話し込んでいた。見ると、bd-1に興味を持っている様子。

 

「乗ってみれば」

 という言葉で、意を決したのか試乗してみる嫁。自分のSpeedは前傾がきつくて怖いと言っていたが、Standardならもう少しアップライトでしっくりきたらしい(実際には2011年モデルはステムの角度はSpeedと変わらなかったらしい。サドルのセッティングを調整した結果とのこと)。しばし考え込んだ後、「よし。」という声が聞こえたかと思うと次の瞬間。

 

「カード2回払で」

 

 

 ????

 

 オイィィィィィィィィ!!! 買うんかい!!!!

 なんと、その場で即決してしまった。こういう時の女の潔さってのは何なんだろうね? 思わず大笑いする俺の横で、次々に話を進めていく嫁と店長の奥さん。スタンドをオプションで付け、その日の内に納車(=持ち帰り)。最初は折りたたみ方法のレクチャーがあるのだが、店長いわく「旦那さん乗ってるから簡単にやりますけど、後は手取り足取り教えてもらってくださいね~」て。

 

 こうして、嫁専用bd-1「ポロ子号」が誕生したわけです。

 仕様は2011年モデルのStandard、色はスコッチブライト。当時(2012年8月)型落ちモデルの在庫処分価格で13万前後だった記憶がある。それをポンと買っちまう嫁の男らしさったら...。

 

 常々、「自転車のカテゴリなのに「明るい抑うつ闘病記」のカテゴリをどうして付けるのか?」という疑問をお持ちの方に、改めてお話しておきたい。

 自分の中で、「自転車に乗るという行為が、抑うつの治療に大きなパートを占める」と思うからです。端的に言うと。なぜか。

 

 抑うつの人にとって強制的に家から外に出て、街中に行くというのはとても抵抗があることかもしれない。でも、自転車なら例えば風を感じて、自動車ほどの神経を使いすぎず、制御できる速度で人のいない田舎道に向かってもいい。漫画「のりりん」の中のセリフにあった記憶があるが、「今の自分の力を再認識できる」乗り物だと。

 

 そして、会社組織の中で競争にさらされたり、他者と比較する生活の中で疲弊しきった心に、自転車は優しい。ロードやMTBで競技をする人には大変申し訳無いが、自分は自転車で他者と勝負する気に余りなれない。「サイクリストは競わない」という言葉(以前JALに乗った際、機内誌で偶然しまなみ海道の記事を読み、そこに書かれていた)が、とても心の中で大きな影響を与えたのだ。

 誰かと競い、他者より前へ、他者より上へ、他者より先へ...そうしたものに追われることなく、自分の心ひとつで行く先を決められる。そのテンポが、心を癒やすものだと思ったのですよ。

 

 まさに嫁にとってはそれがプラスに働いた。「自分が自分で良くて、誰とも比較する必要がない。もしかしたら、人生で初めてそんなジャンルに出会ったかもしれない」と。

 自分にも、己の30代中盤の体力を再確認することで、無理はきかないけど30代なりの戦い方がある、楽しみ方があると思わせてくれたものである。むしろ大人になって、子供の頃「自転車でどこまで行けるだろう」と抱いた疑問を解決して余りある答えを見つけることにすらなったのだ。

 

 幸いにも、嫁は元気を取り戻し、今では普通に仕事に復帰している。忙しさもあるため一頃より自転車に乗る頻度は減ったものの、時折自分の知らないところで嫁なりのロングライドに出かけたりしている。うちのN-ONEに2台のbd-1を搭載して、出先で一緒に走るということもやったりする。

 夫婦で共通の趣味を見つけて、同じ早さで進む。なんと贅沢な、幸せと。

 

 来月、グレートアース富良野に参加する。去年は嫁が仕事の都合で出られず、自分と盟友・其他軒君だけで出場したが、今年は夫婦で参加することになった。残念ながら其他軒君は参加できずbd-1が3台揃い踏むことは叶わなかったけど、夫婦でペースを合わせて完走したいもんです。

 

 願わくば、二人で長く、怪我をせず。

 

 

 さて、タイトルの「BE TOGETHER」。鈴木亜美版ではなく、当然の事ながらオリジナルのTM NETWORK版でイメージしてくださいな。


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