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Seasons of Change

 早く来いやX1 Carbon(2014)。そして今回は、封印してきた「ThinkPad関連の毒」満載でお送りいたします。

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・Seasons Of Change

  祝・ニューマシン出荷!!! というわけで今回は、書こう書こうと思っていたThinkPad関連のお話。いい話悪い話、毒の方が中心かもしれないけどお付き合いを。

 

 自分のパソコン遍歴が大学入学=95年に開始した時はお下がりのPC-9821Ae、次にEPSONのノートを経て98年に完全自分用マシン(他の人のお下がりでなく)として購入した560Eを皮切りに現在に至るまで16年間ThinkPad一択。トラックポイントとキーボード、ぞんざいに扱ってもびくともしない頑丈さ、世代が変わってもひと目でThinkPadと分かるデザイン...というところを信頼して、今のところ他のマシン・ブランドに変える気は無い。そう、「今のところ」。

 

 量産工業製品として流通するあらゆるアイテムは、モデルチェンジが避けられない。そして市場のニーズによって姿を変えることが多い。発売当初の姿を頑なに維持しているものというのは、既に完成されたプロダクトであったり、最大公約数的な一般性を持って市場に受け入れられているもの、言い換えれば「変える必要の無いもの」というところだろうか。

 

 翻って今回話題にしたいのは、ノートPC。コンピューティングデバイスということになる。

 IT系の技術ほど流行り廃りの激しい物ってのは少ないと思うのだが、それを取り入れなければならないパソコンと言うのはそれに合わせて変化を強いられる商品だと思う。OSに始まりインターフェイスや各構成部材、外観までトレンドや主流技術に合わせて数年単位で変化していく。気に入って使っていた機能が2年もしたらさっぱり存在しないということだってありうる。

 だから自分は、パソコンを買うとしたら欲しいと思った時が買いどきだと思っているし、買った瞬間から(更に言えばリリースされた瞬間から)陳腐化が始まっているし、永久に完成しない「半完成品」であることを承知した上で選ぶ。

 どんなに優れたパッケージングであろうと、それを超える技術が既に研究・開発され続けているわけで、いつかはその技術に人間の側が対応しなければならない。もしくは量産という宿命から部材メーカーが供給する部品に合わせてフォームファクタを変化せざるを得ないから、強制的にユーザはその方向へ「いつかは」向かわなければならない。

 

 何でそんな話になるか。

 ThinkPadは、ブランド誕生から20年以上(92年からだから22年か)が経過しているが、黒い筐体にフルサイズのキーボード、赤いトラックポイントというアイコンが頑なに変わっていない。途中で徒花とも言えるような実験的モデルはあったにせよ、概ねひと目で「ThinkPad」と分かるデザインを一貫してきたわけで。

 ただし、その中でも先の通り避けられない変化を強いられることはあるし、それをいかに今までのアイコンを維持して取り入れるかという試行錯誤が繰り広げられてきたと言うのは、リリースされたマシンを見れば忍ばれる。

 

 大きな変化では、4:3液晶から16:10のワイド液晶への変化、キーボードのアイソレーション化と段数減(7段から6・5段)・レイアウト変更、タッチパッド部分の変化などなど。

 私見として、液晶に関しては世間の液晶パネル(PC以外のテレビや小型ガジェット用含め)がワイド液晶が主流になり、製造ラインも完全にそちらに移行するために仕方ない部分はあるのだろう。

  キーボードのアイソレーション化(キーとキーの間にフレームがあるような、Macbookみたいなのを想像していただければ)は恐らく競合メーカーへの対抗策やキーボードベンダーの大量発注による低価格化への対応と見て取れる。

 タッチパッド部分については、うちの嫁を見ているとなんとなくわかる(ThinkPadを使っているがタッチパッドばかり使っている)が大半のPCユーザはマウスオペレーションやタッチパッドでの操作の方が慣れてしまっているから、なんだろうな。

 

 どうしてこういう話をするか。それは、こうしたやむを得ない変化を受け入れられないユーザの罵声が余りにもひどいから。

 

 そう、モノ申したいというのはいわゆる「老舗ユーザ」の方々について。

 マニアックなユーザからパワーユーザまで、かなり濃い老舗ユーザが定着しているのがThinkPad。自分もそこまでのユーザ歴ではないものの16年も使っていれば立派な「老舗ユーザ」の中に入ってしまうのだろうが、どうも更なる「濃い」ユーザはそれぞれに拘りが強く、ある意味「原理主義」のような一面を持っている。

 

 4:3液晶からワイド液晶への過渡期は「ワイド液晶のThinkPadなど認めない」、アイソレーション化の時期は「触っていないが見て分かる」、タッチパッドの大型化に関しては「無意味」、キーボードの6段化・5段化については「愚策」という感じ。

 

 いや、言いたいことは分かる。ThinkPadを選ぶ人ってのは大体ガチンコの業務向けだったりBYODでSOHOでという人が多いんだろう。実際にキーボードが他のメーカーに比べて格段に打ちやすい(だから自分も選ぶのだが)。6段化するまでは、マニアックな(UNIX等の端末で使うようなScroll Lockとか、言ってみれば一般の人は全く使わない)キーを標準装備していたわけで。それが徐々にモデルチェンジでなくなっていくとなると、ひとこと言いたくもなろう。

 ただ疑問を持ちたくなる部分は、「触っていないがスペック表で分かる」というような人も結構その手のフォーラムで発言しているところ。確かにモデルの写真や諸元表である程度の予想はつくけれども、実際の使用感というのは触ってみなければわからない。アイソレーション化した頃は特に顕著で、ファンクションキーの配列やキーボードトップの感触についてものすごい議論が巻き起こった記憶がある。不買運動や別のメーカーに行くというような。

 

 うーん、傍から見てると「たかがパソコンがあなたの人生をそんなに左右するもんですかい」と思ってしまうのだが。携帯電話の掲示板とかフォーラムもそんなだったなぁ。

 

 まぁなんにせよ、量産プロダクトである以上メーカーの方針に沿ったものしか出てこないし、個人に向けた完全オーダーメイドのものなんてあり得ない。あれがないこれがないここはダメだ、と散々文句をたれた後に「仕方ないからこれで行くけど次は買わない」と吐き捨てた割には、何年経っても同じフォーラムにいたりする。で、結局新型が出る度に買ってたりするんだけど、あんたどこからそんな金出てくるのと。

 

 新たな技術が出て来る、新たなトレンドに沿ったガジェットが主流になる。自分のスタイルにあった物を使い続けるのは確かに大事なんだけど、ことパソコンに関してはそれが通用しない事に気づかなければならんのじゃないかなぁ。10年前と今では明らかにコンピューティングの意味合いは変わっているし、生活に占める割合や目的も違う。まして大部分をユーザが弄れた20年前後前の「古き良き時代」とは完全に時代が変わっている。自分だって、この変化に対してある程度付いていくのがようやくだ。IT系ライターや技術系の人じゃない限り、必要な部分のテクノロジーに触れるのが精一杯だと思う。

 全てをガジェット≒メーカーにぶん投げて自分好みに作らせるやり方は通用しない。言ってしまえばそれは単なるわがままだ。「ユーザ様の貴重な意見」と自分で言っちゃうのは無粋極まりない。

 人間の適応能力はそんなもんじゃないはずだ。ある程度のカスタマイズをするとして、しばらく使って慣れれば意外に自分のツールとして馴染んでくる。その過程が楽しいんじゃないかなぁと思ってみるのだが。と言っても、仕事・商売道具として使う人達にとっては死活問題なんだろうけど。

 

 レノボThinkPadブランドが移管してから、意外とメーカーとユーザの交流する機会が設けられている。ネットで「大和魂ミーティング」と検索したら出てくると思うが、ThinkPadの開発が日本の大和研究所(以前は神奈川県大和市、現在は横浜みなとみらい)で行われていることにちなんだミーティングが過去数回行われている。自分は初回と第三回に参加し、第三回では拙いながらプレゼンテーションも行わせていただいた。その場で思ったのは、開発側の方々がコアなユーザの意見を積極的に聞きにきていたこと。ならば「建設的な」意見や具体的なサジェスチョンを提案するのが「コアなユーザ」として招待された者に求められるロールではないかと思ってみたり。

 まぁ、そうした場でも「過去の」モデルを持ちだしてああだこうだ、という人は結構いたりしたんだが。かなり古い(いわゆるマスターピースと言われる)モデルを何台も持ち込んで店広げてるとか。

(ちなみにその場で「ハイグレードなカーボンを全面に打ち出した超ハイエンドモデルを出したら買う層はいると思いますがどうでしょう」と開発の人と話した1年後に初代「X1 Carbon」がリリースされ、更に20周年記念の日本国内生産限定モデルが出たのはまさか...)

 

 さて話は変わって今回導入するX1 Carbon(2014)。俗にいう「新しいX1 Carbon」というモデルなのだが、こいつがまぁクセの強い機体なのですわ。14型で1.3kg切り、最厚部で17.7mmという極薄モデル。しかしてキーボード周りが斬新すぎる。「変態配列」と言われる程キーレイアウトが特殊だったり、ファンクションキーがタッチ液晶になっていたり、トラックポイントのボタンがタッチパッド一体型になっていたりと、老舗ユーザでなくても使い手を選ぶ仕様になっている。実際自分も「これはありなのか?」と思っていたのだが、実機を触ってみたら意外にすんなり使えそう。ファンクションキーについても自分は殆んど影響なさそう。タッチパッド一体型ボタンも実機を触ってみたら意外に行ける。

 X1シリーズはクラシックラインと違ってかなり挑戦的な技術を入れてくる為、個人的にはリアルモバイルラインとしての「X」ナンバーではなく、実験的な「eXperimental」の「X」と認識している。いいねえ、実験機!!! ガノタにとっては燃えるシチュエーションではないか!!!

 

 そして、とても大事な、原点と言える部分は

「そのコンピュータを使って何を成すか」ということだと思うのだ。

 映像や画像編集等アート系はMac、ビジネスに必要な堅牢性はThinkPadかLet's Note、趣味で使う程度ならVAIOみたいに言われた時代もあったが、本来パソコンはスペックを見ながらニヤニヤするためのものではなく、それを使って人間の思考を具現化し、作業の効率化を図るためのツールであるはず。ベンチマークを走らせてどの数値がいいどの数値が悪いと一喜一憂する為のものではない。

 優れたインターフェイスとアプリケーションの親和性で頭に描く映像や音楽をトラックダウンする。小気味いいキーボードで思考と同じ速さで文章を出力していく。そうしたことのために、様々なハード的進化は進んできたのではないだろうか。

 

 そう考えると、かのフォーラムや掲示板に集まる人達はどうなんだろうと首を捻ってしまうのだ。キーボードの配列や画面の解像度やスペック等をこき下ろしているんだけど、その文章を読む限り...なんというか...あなたまともに推敲してる? という文章や、配列云々言う前にタッチタイプの基礎からやり直した方が幸せになれるんじゃないの? という方々が...。

 人それぞれだからなんとも言えんけど、自分も文章を垂れ流す生活をしている以上、これでも結構気は使ってます。

※地味にこの日記書くのに3日かかってます(笑)

 

 そうこうしている内に8月に入ってしまったではねいですか。ニューマシン到着まであと1週間弱。そろそろいろんなデータのバックアップと移行準備に入らんと。

 というところで、余りにも物申したいことが多すぎて更に書く時間が長すぎていい加減疲れたので今宵はこれまで。うわ、トータル5000文字オーバー...無駄に長い文章にお付き合いいただきありがとうございましたっと。