群れ
もう2月か。
・群れ
仕事の都合もあろうが、どうも最近夢見が悪い。あまりガッチリと詰まっているわけではないと思いたいのだが。
会社、というか部門の行く末が少し変な方向に行こうとしているのを、中枢に近いところで見ざるを得ないのもあるからだろうか。
土曜の半日仕事を予定外の延長戦で終えて、一人札幌へ向かう。特に当ては決めず、
中心街の渋滞を避けたくて新札幌に車を置きJRで札幌駅へ。帰りは大通りから東西線か。
快速に乗ると眼鏡が曇るような湿度。チャイニーズと思われる客が向かい合わせの4人がけを二人で場所を取っているような。一駅だから座らんでも良いか、と立ったまま平和、白石、苗穂。雪に包まれた札幌駅までの景色。子供の頃、色々と病気持ってて母親と一緒に通った車窓は少しだけ変わったけど、冬特有の効きすぎる暖房の温かさだけは変わってない気がする。
札幌駅で切符を確認すると、どうやら落としたらしい。新札幌の駐車券の時間を見せてそこで乗ったことを証明し、2重払いで再発行。駅員さん、そんなに謝らんでもいいよ、落としたのはこっちが悪いんだし。
ヨドバシ、紀伊国屋とサラサラ流れる。余り遅くなると皆晩飯遅くなるから、残り時間を計算しながらの早足。
久々にヴィオラを弾くことになりそうなので、弦を買いに行こう。
センチュリーロイヤルホテルの脇から地下街へ。
ああ、この道はまだ札幌駅が高架になる前、厚生病院が移転する前に一人で通った道だ。小学6年頃か。
タイトルのC&Aの「群れ」を聴きながら静かに歩いて行く。
寂しいことはもっと他にある いつもいつも思うこと
自分の中の自分に よく負けてしまう
欲望やなんかじゃない、なんだろう。この最近ずっと負けそうになる気持ち。
自分と嫁の楽器を買って、以前からお世話になっているシャコンヌ札幌店さんに5年ぶり位に顔を出す。職人兼店員さんのM上さんが、時間が止まったかのように変わらず迎えてくれた。しばらく楽器も調整していないし、行きづらかったこともあるけど、多分そういうことじゃないんだろう。
自分はなにも極めることが無い。
楽しいことは沢山ある。でもそこから先に行くべきか、いつも迷う。
楽器もそう、自転車もそう。きっと極めようとすると、もっともっと追い込まないとならないはずなんだ。自分には多分、そういう覚悟もそうする意欲も意義も見いだせない。趣味や楽しみの域から出ない。何だけど、どこかこの世界は「その先へ」「もっと高みへ」と求められている気がして。
ものぐさなのは自覚してる。でも「楽しい」じゃ駄目なのかよ。
苦しんで、努力して、いろんなものを捧げて費やして、たしかにその先の世界はもっと広がるんだろうし更に楽しいのかもしれない。でも、捧げられた、切り捨てたものは?
大通りは来週からの雪まつりに向けて準備が大詰めだった。
昔、まだ外国人観光客なんてまばらだった頃、小学生の頃の自分は従兄弟家族につれてきてもらった記憶がある。80年代も最初の頃か。大人になって、見に行こうかと思う反面人混みに辟易する自分も居て、もう10年以上見に来てない。
今日も土曜日で沢山の「群れ」の中、自分もその「群れ」の一人になりきる。
こんな他愛もない話を、崩れそうな気持ちも、笑い飛ばせる友人すらいないことに気がついた。
一人の世界、身軽だと思う選択肢の先にある、雑音の中の静寂。
それでも進んでいく。
もう引き返せない。