誰がために
プラモデルを作る行為は「誰のため」
4月も終わりの週末の話。息子がEGガンダムを「お父さんに」と作ってくれた。や、ロールアウトカラーにしようかと寝かせておいたのだが、まあいいや。
基本的に大人がプラモデルを作るのってのは自分のため、だと思う。自分以外のために作る、というのはそれが例えば誰かに「作って」と依頼された=対価が発生することだったり、対価が発生しなくても時間がないからと誰かの代行で作ったりと、基本的には受動的な動機に基づくものだと思ったりする。
自分がプラモデルを作ることが「誰かのため」となったのは、間違いなく息子のためということになる。それは保護者として、まだ工具やマテリアルを使うのに時期が早い幼児の代行という側面が多分に強いが、見本を見せることで「道具を駆使して何かを作ること」を教えるという行為も含んでいる。
さて、その手ほどきを済ませはしたものの、まだ一人で組むには小さいのと「興味を持って」「そこそこの難易度」というプラモが見当たらない。そんな中で俺の部屋の積みプラ倉庫で見つけたのが件のEGガンダムと。
とはいえまだ完全に一人でとはいかず、結局は隣についてわからない部分をアドバイス。エントリーグレードと言えど、パチンとはめ込むには力がいる部分もあるため、そこだけは手伝う。組むこと40分ほど、出来上がったガンダムで遊び始めるかと思ったら
「これね、おとうさんにあげるの。〇〇(息子)が作ったから、他のガンダムと一緒に飾ってあげてね。寂しくないように」
と。
というわけで、俺のデスクに並べて飾る。1/144スケールだからセカンドV・ユニコーンと図らずも大きさの比較に。
「誰かに何かを作る」。料理ならともかく、それがプラモデルだと、動機はいろいろなんだろう。息子が何を思って「おとうさんにあげる」と思ったのかはわからない。それが「成長を見せたい」というには若く、ただ作りたい口実を考えるにもそこまでの知恵ではないだろう。彼の心の中から「お父さんへのプレゼント」として、共通の興味であるガンダムを、自分の力で作れるものをと選んだのなら、これは嬉しいことだと思う。
それなら、税込み550円のプラモデルは安いもんじゃないか。
なんて御託を並べずとも「息子がプラモを作ってくれた」ってだけで嬉しいじゃないか!!! というオチ。