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やさしさ紙芝居

札幌エスタ閉館と個人的ノスタルジーの話。

札幌エスタ

長年お疲れ様で。

 8/31を以て閉館となった札幌エスタ。元はそごうデパートとして、札幌駅併設の施設としては最大級だったが、ステラプレイスができてからは連絡通路で迷宮化。それでも、中のテナントはビックカメラユニクロ、向かいの五番館西武が取り壊しになってからはLOFTが入り、近年はニトリが入るなど、いつも人がにぎわっていた印象。大型店舗で空きテナントが目立つ最近の北海道において、最後までそうしたスペースが目立たなかったなあ。

 子供の頃からあった施設、昭和50年代にさかのぼる。しばし昔語りにお付き合いを。

 

 あまり体の丈夫じゃなかった子供時代。母も身体が弱く、札幌近郊の町から毎月のように、当時地上駅だった札幌駅から現在の斗南病院辺りにあった厚生病院に通う道のり。今のように予約とテンポの良い診察ではなかった時代、朝一番で受付をしても診察が終われば夕方なんてザラ。長い待ち時間と、痛い治療を我慢して、また駅から当時の国鉄に乗って帰る道すがら、寄り道するのはそごうデパート。

 少し足早に、目指すのは7階。そこには、自分の地元の町では到底入荷しない量のおもちゃやプラモデルの数々。小学校中学年くらいまでは親に連れられてだったが、高学年からは一人で電車に乗って、診察を受けて、涙目になりながらも向かう「そごうの7階」。

 当時はとても裕福と言えなかった我が家、診察代や交通費だけでも厳しい中、頑張ったご褒美でたまに買ってもらえるプラモが楽しみで。毎年ゴールデンウィークにはタミヤの「モデラーズギャラリー」が開催されて、なけなしの小遣いを握りしめて地元で買えないラジコンの部品を買ったり。

 病院の帰りは、叔母(母の姉)が脚の悪いのにいつも心配して付き添いに来て、そごうの10階のお店で夕食。もう店も忘れてしまったが、南側にあったと思われる(らーめん共和国が入った辺りか)すき焼き丼を出す店でたまに食べる贅沢。

 夏休みには、そごうで漫画やプラモを買い込んで、祖母の家(さっきの叔母と二世帯だった)で今よりもはるかにさわやかな札幌の夏をインドアで過ごしたり。

 地下街がまだ「ステーションデパート」や「札幌駅地下名店街」だったころは、まだ爺ちゃんが生きててよく富士屋の店頭にある「とうまん」焼きの機械を飽きずに眺めて、「壱参、まんじゅう食うか?」と呼び掛けて一緒に食べて。その機械は、今も移転して大丸側の地下街で現役稼働中。息子にも見せてやったことがある。

 息子が生まれた日、ビックカメラの酒屋でお祝いのウィスキーを買って。2歳半の頃には一緒に男旅と称してトミカを買いに行ったり、ステラからエスタまで抱っこもせがまずずっと歩いたりという記憶。

 

 今はもう、その地下街・パセオも去年閉店、高架下の店も解体工事が1年。そして今度はエスタ。正直、需要も疑問視されている新幹線のために、せっかくの歴史が全て台無しにされていく感覚。しかしきっとそれも、これからの世代にとっては「過ぎていく現在」の風景になっていくのだろう。

札幌エスタ・2023年7月

この角度がそれらしいか。

 どうしても、この建物だけは子供の頃からの思い出が詰まりすぎていて、寂しさが溢れてしまう。だけど止まれない。次にできる場所が、願わくば長く人々の思い出に残る場所にならんことを。

 


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